小瀬古伸幸『精神疾患をもつ人を、病院でない所で支援するときにまず読む本』(医学書院)を読んだ!

小瀬古伸幸『精神疾患をもつ人を、病院でない所で支援するときにまず読む本 ”横綱級”困難ケースにしないための技と型』(医学書院)を読んだ!

精神疾患をもつ人を,病院でない所で支援するときにまず読む本 “横綱級”困難ケースにしないための技と型 [ 小瀬古 伸幸 ]

価格:2,200円
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感想(5件)

この本の前半は精神科訪問看護における事例集になっている。たとえば、「気をつけていても過活動になり、その後のうつが避けられない人」に対してどんなふうに対応すればよいか? といったことが、会話つきで記されている。
対応が難しい利用者――横綱級の事例――を横綱級にしないためのコツが書かれている。

後半は精神科訪問看護スタッフ必須の知識が書かれている。看護計画の立て方や事務員の電話対応の仕方、死亡時の対応方法など。

私自身は精神科訪問看護スタッフではない。それでも前半の内容はとても参考になったので、特に印象に残った部分をまとめておきたい。

  • なぜ訪問看護を受けるのかを本人の口から説明してもらうようにする。
    わからないと言われたら、「主治医(などの訪看勧めた人)はなぜ勧めたと思うか?」と聞き返す。
    最初にしっかりと合意をとること。
  • 越権行為には毅然と対応すること。
    例えば予約を取ってくれない利用者が「思い通りの時間に看護者がきてくれない」とクレームを言ってきたとする。このとき看護者はなぜか申し訳ないような気になって必死で時間調整しがちである。
    そうではなくて、「ホテルやレストランでも予約をとったものが優先されるのは社会通念であり、我々もそれに従う」と社会通念を持ち出して説明することが必要。
  • 代理行為には慎重になること。
    本人がもともとできていたことまで看護者がやってしまうと、本人の力を阻害してしまう。
    たとえば「医者に電話で伝えたいことがあるけど伝えられないので代わりに電話してほしい」と利用者に言われたとする。そんなときでも「喋れなくなったら代わりますから」と保障してまずは本人にかけてもらうこと。
  • 本人不在のカンファレンスをしない。
    支援者たちの思う本人像と、実際の本人とがズレてしまうので本人の意志が反映されない。そんな無駄の多い話し合いになりがち。
    本人を交えてカンファレンスできないとしたらそれは支援者の持つ不安に問題がある。本人が直接話を聞いたらショックを受けるのでは、と思ってしまいがち。けれど、伝え方に細心の注意を払ったうえで本人とも情報共有した方がいい。
  • 悪くなる1段階手前、2段階手前のサインを教えてもらう。
    そのサインが出たときに「いい感じの自分に戻れること」を実践できるよう、紙に書いて準備しておく。支援者が提案するぽっと出の対処法は、普段本人が行っていないことなのでしっくりこないことが多い。
    大概いい感じの自分でいられるときというのは、調子がいいとか悪いとか意識すらせず何気なく過ごせているとき。そのときに自分が何をしているか(音楽を聴く、散歩するなど)をメモしておいてもらい、そのなかから悪くなった時に実践できそうなものをあらかじめ選んでおく。

確かに代理行為については、利用者にしてみれば代わりにやってもらえれば楽だし、看護者にしてもことが一瞬ですむように感じられて楽なので、双方に悪い意味でメリットがあるみたい。
なので、ちゃんと気をつけて本人がやるべきことは本人から奪わないようにしないといけないんだと思った。
…あと、書いてある内容が地味に難しくていまいち理解できないことも多かった…というのが正直なところ。なので、また読み返したり、周りの人にも意見を聞いてみたりしたい。

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